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第5回「社長が海外に売るのを拒んでいます」

昨年,とても良い材料を開発し,展示会で発表したところ,海外から引き合いが続いており,早く購入したいというオファーを貰っています。

しかし,社長が日本国内が先だと海外に売るのを拒んでいます。国内のユーザーは興味は持ってくれますが,検討中だとか,価格を非常識までに値引きしたがるので,私としてはいち早く海外に売って実績を作りたいと考えています。このような場合,どうすれば良いでしょうか?

(群馬県 材料メーカー 47歳)

 

この円高の時節では輸出より輸入に脚光があたっており、海外の安い労働力を使った生産移転や下請生産による輸入事業が国際化の代名詞になっていますが、海外からのオファーがあり輸出価格も合うとなると確かに美味しい話ですね。

他の会社から見れば羨ましい限りと思います。海外へ進出したいとの相談がありますが、いかにグローバル化した昨今でも海外進出の目的をハッキリさせないと後で困ることになります。

製品輸出の場合でも企業目的は様々で国内が成熟市場になっているので海外に新市場を求める、余剰生産力を有効活用する、などの前向き姿勢から、返品された製品や廃番で残った商品の処分方法としてなど後ろ向き姿勢まであります。

確かに海外市場は賢く使えば会社に大きな利益をもたらします。たとえば季節商品の生産会社では、北半球の日本と南半球のオーストラリアでは夏冬季節が逆なのを利用して日本の閑散期の余剰生産力を使って、オーストラリアに輸出して生産を平準化をしている様な例もあります。

■ 輸出にあたっての検証ポイント

 

ご質問は海外市場に製品を先行導入して実績を作り、国内需要を喚起する戦略を考えておられる様ですので、その際の意見を述べさせて頂きます。まず輸出を行う環境に会社があるかの判断です。 

下記の検証をして下さい

第一点:初期導入市場は海外か国内かの検証

長期的に海外と国内のどちらの先行導入が会社の利益を最大限に出来るかにあると思います。海外企業が優位性を持った製品なら海外先行販売の戦略が有効ですが、日本企業が優位なら日本市場での実績作りが最初のはずです。

外資企業のなかには、品質に対して世界一うるさい日本市場でテスト販売をしてから、自国市場で本格販売する販売戦略を取る例は多くあります。

じーっと我慢して国内企業からの受注を待つのも大事な選択かもしれません。

“国内のユーザーは興味は持ってくれますが,検討中だとか,価格を非常識までに値引きしたがる”とありますが、受注に至らない理由の検証も必要です。

貿易業務が出来る社内体制があるかも大事です。英語の必要書類作成や銀行との為替業務のやり取りは結構手間がかかります。体制が無いなら、手数料はかかりますが、商社を使うというのも選択肢のひとつです。

第二点:新製品の市場導入に緊急性があるかどうか

製品は競合品に比べて価格、品質、性能等の競争力はどの程度あるのか、そして優位性は何年程の確保が可能かです。特許が成立しておれば、長期的販売戦略を作りが出来るので大事な要素になります。

競合メーカーが類似製品を短期間で開発可能な場合は、一刻も早い短期間での導入が必須です。

輸出国への特許出願も終了しているかの確認も必要です。

第三点:品質確認

長期輸送中の温度湿度に耐えるかの検証:

欧州に船で輸出する際には東南アジア、赤道、スエズ運河を通過する為に、コンテナ内の温度が高温多湿になり、化学品の場合は品質劣化が起きる例が多くあります。高温多湿条件下での長期保存試験等は必須です。

新製品の初期生産の品質確認検討:

試験生産は上手く行っても量産になると問題が起きる例があります。海外取引での契約不履行は損害賠償をとられますので慎重に。海外で品質トラブルが発生した場合の処理体制も検討して下さい。

第四点:輸出先企業の選定

筆者も経験がありますが、展示会に出展すると海外メーカーの動きは素早く、展示会当日にオファーがあったりします。

文化性、市場性の違いもあり“トライアンドエラー”使ってみて良ければOK、駄目ならやめるという商談が許されるので、成約率は高いです。しかし、不都合が出たら我慢はしてくれず即終了です。

逆に、日本企業の場合は動きは遅いですが、不都合が出た場合では改良の相談に乗ってくれたりして、関係は比較的長く続きます。御社の社風に合った企業選択が大事です。外資でも日本的な社風を持った会社も多くあります。

その他の選定項目としては

1.オファーのあった海外メーカーと御社の主要取引先との競合関係でマイナスの影響がないか?
(良く競合会社と同じ部材は使わない会社があります。)

2.国内需要に大きな影響を与えない規模の受注が期待できる規模の会社か?
後で述べますが、受注規模が大きすぎると国内市場に供給出来ませんので、初回導入は自社の生産力を考慮した規模の輸出量に抑えるのが要点です。

3.その会社に販売する事により、輸出国市場内で他社への販売拡大が期待できるか?
つまりその会社がフラッグシップとなって、点から面への拡大の可能性があるかです。

第五点:法務契約関連

販売契約書は専門家を使っての作成が必要です。契約終了の仕方、裁判になった時にどちらの国の法律と裁判所を使うかまで契約書に書く必要があります。

■ 社長を説得する際の留意点

 

以上の点を確認したら

社長の説得ですが、骨子としてはリスクの少ない輸出を提案されたらいかがでしょうか?

説得策は市場を細分化して始めは小規模で輸出を初めて、少しずつ様子を見ながら販売地区を拡大していく、いわゆるロールアウト戦略による製品導入の提案です。 最初は海外からのオファーを全部受けるのではなく、輸出国、企業に優先順位を付けておいて、当初は自社の供給可能量に見合った規模の国、または企業のみに販売して、成功したら次へと順次販売網を広げていく方法です。

このマーケティング戦略は、国土の狭い日本ではあまり行われていませんが、国土が広く、人種も多い米国では良くとられる方法です。

当初から全市場に一斉導入するのでは、生産設備などの初期投資が大きくなり、リスクが伴います。 巨大企業ならこのリスク吸収は可能ですが、普通の企業では倒産してしまいます。そこで順次地区拡大していく方法で、地区、販路、業態、人種など多くの市場区分のやり方があります。

意図としておられる海外での実績作りなら、海外のこれと思う会社一社のみに輸出されれば、国内市場への供給に大きな障害になる事もなくリスクも低いと思います。

社長にはロールアウト方式で下記の方針に沿って事業展開を行う点を強調して説明して理解を得るのはいかがですか?

1.輸出売上を国内市場向けの販売促進として利用するのを目的とするので、相手先は国内市場に影響力があり、かつ国内市場が立ち上がった時に生産量に大きな負担を与えない規模の会社と取引する。

2.海外販売量は国内向けの生産量への影響を最小限にする。

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