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第6回「測定器を開発しましたが、高すぎると怒られてしまいました」

測定器を開発しました。しかし、オーバースペックの上、ユーザからは,高すぎると怒られてしまいました。

単純に機能を削れば安くなるというものではなく、既存の技術を頼らずに,いちから作ったので価格を下げることができません。

どうすれば良いでしょうか?

(東京都 測定器メーカ 57歳)

 

技術の空洞化が言われて久しい中、質問者のように、高性能の機械の開発に挑戦され、自信を持って製品化されようという姿勢には頭が下がります。

日本の技術はまだ時代をリードし続けるパワーのようなものが感じとれますが、今回のご質問は時代の先を行き過ぎてしまった故の悩みというべきでしょうか。

■ 測定器マーケットの特徴は

 

始めに 何が問題か復習してみましょう。民生機器と違って数が大量に出回っているものではありませんし、ユーザの専門分野も限られております。

性能的には今回開発されたものより劣ったとしても、類似の物を既に所有して使用している可能性が高いので、簡単に買い換えるということは難しいと思われます。

ただ一度性能その他で商品を気に入られると、他の測定器も含めてそのメーカを使い続けて貰えるという傾向もあります。

■ トレンドから値ごろ感を見極めましょう

 

ユーザから高すぎると指摘されたそうですが、それは逆に考えるともう少し割安感が出れば非常に魅力的な商品であるという訳で、決して測定器自身を否定されたということではないのです。従ってここはもう少し冷静にコスト分析を行い、その後で戦略的な価格設定をすべきかと思います。

先ず日常使う物差し(300ミリ程度のスケール)で1,000円程度,これは精度(分解能)が1mmです。少し厳密な測定ですとノギスという工具を使いますが、これが50マイクロメートルの精度で5千円から2万円位でしょうか。更に厳密な光学顕微鏡レベルで同じ位の測定レンジを持つもので100万円~300万円,分解能は1μmです。

それ以上の光学波長以下の精度ですと,短波長専用の顕微鏡や最近では原子間力顕微鏡というものが市販され始めておりますが、これが2千万円~数千万円で数nmの分解能があります。

このように性能と価格の関係はばらつきがありますが,全体として強い相関があります。これらの数字を例えばExcelなどの表計算ソフトを使ってグラフに表してみました。ここでのポイントは横軸と縦軸に対数を使う「両対数」グラフとすることです。Excelではグラフウィザードの設定の所で対数の選択肢がありますので簡単に作成することが出来ます。

より専門的にはワイブルチャートを活用することも出来ます。両対数というのは相関を見るには極めて有効な手法で、例えば価格と性能の関係など比例関係ではないがある一定の相関がありそうな場合に有効で、前例の物差しの場合、かなり大雑把な設定にも関わらず驚く程素直に傾向を把握出来ます。

(図1)ご相談の測定器についても,現時点での大体の価格傾向を調べて自分の測定器がどの辺に位置するのか把握してみては如何でしょうか。

第6回図1

■ 材料費が高いだけですか

 

良い測定器には良い部品が必須です。S/Nを良くするためには等級の高い素子を使い、電源も十分に余裕のあるものを採用し、外装も贅沢になります。従って材料費がこれまでの数倍になることも十分考えられます。

只,測定器の価格設定はそれだけで決まる訳ではなく、製品発表までに要した開発人件費,新規設備投資も含めた工場内の減価償却費が全て掛かってくる訳ですから、材料費率はそんなに大きくなる筈はありません。

先ずは新しい測定器の商品寿命や耐用年数その他もろもろのライフサイクルを吟味して、上述の費用を分散して配賦すべきでしょう。(法定の耐用年数を言っているのではありません)。

いずれにせよ投資回収を何年でやって,それ以降はどう展開するのかはっきりとした見通しを立てておくべきでしょう。新しく取得された技術の価値を冷静に見極めることが大事で、価格トレンドを知っておくことはその大きな参考になり、ひどい「ぶれ」は回避出来ると思います。

■ 知的財産権の対策は万全ですか

 

既存の技術に頼らずに全てオリジナルで開発されたとの由、相手からすればオーバースペックかもしれませんが、中身は技術革新がぎっしり詰まった宝物です。先ずは冷静にその価値を権利化してみましょう。

ノウハウとして社内に留保しておきたい調整技術や購買情報は別として、設計図や回路図の新規な部分は全て一件にまとめて出願されることをお勧めいたします。

費用に関して言えば、一般的には弁理士に手続きや清書を代行して貰うことが多いのですが、発明者は出願の権利があり、自分で明細書を書くという意欲さえあればその手数料は3~4万円程度で済ますことも出来ます。

実用新案でも結構ですから出願登録することによりその技術に対する権利が発生し、防衛的な効果は勿論のこと、ライセンス契約で他社にその技術を有償で使わせることも出来ますし、売却も出来ます。

先ず当面の効果は商品の売り込みの際に「特許出願中」である旨の訴求ができることでしょう。これによって価格が高いことも免責になる訳です。特許の公開により様々な検索ソフトにヒットされる率も上がり、宣伝効果も期待出来ます。

■ 別カテゴリへの参入

 

測定器というのは非常に限られたマーケットですし、新製品が出来たからと言って簡単に買い換えることはありません。当事者であればこの事は十分承知しておられると思います。今回付加価値の非常に高い装置の開発に成功され、しかも知的財産権も相当にあるとすれば、目を転じて別カテゴリーの装置産業におけるOEM供給なども視野に入れてマーケティングを行うのも一法かと存じます。

コストパフォーマンスが悪いと指摘された件も、分野が異なると逆の評価になったりしますし,機能を客先の条件に合わせて削ることも苦にならなくなるかもしれません。異分野への参入は慎重に行う必要がありますが,先ずはその業界誌や特許公開広報に目を通して広い視野を持つことが肝要でしょう。

■ 最後にタイミングが重要です

 

高額な測定器は購入するタイミングが決まっております。経営者の裁量で突然ポンと購入決定することもありますが、大部分は測定器の場合年度始めの計画に先ず計上して審査があり、決定するのは1,2ヶ月後でしょうか。

大事なのは実際に使用を希望する技術者が実質的な起案をすることと、機種をその少し前に決めているということでしょう。従って新規購入を対象としたセールスは新年度の少し前が一番効果的ということになります。

官公庁、研究機関ではそれにプラスして1月末は予算調整(?)の為に比較的小額の測定器を購入することが慣例となっており、しかも購入可否の裁量が現場にゆだねられるという傾向があります。彼らは新製品の動向には非常に敏感で、ゆとりがあれば新しいものを試したいと狙っておりますので、その時期に近づいたら、デモ機を持って研究所めぐりをする事をお勧め致します。

最近は貸し出しを行うメーカも多く、使って気に入ったらそのまま現品購入ということも多々あります。仮に購入に到らなくとも、新年度は直ぐ目と鼻の先ですので、今度は本番の予算計上が期待出来ることになり二重のメリットになります。

なお大学や官庁の研究機関では各種の外部助成金に応募することを積極的に行っておりますので、その応募締め切りや採択結果発表時期などを個別に調べることもやってみて下さい。これらは簡単にホームページの検索で見つける事が出来ます。

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