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第7回「取引先が強引な買収を行なおうとしており困っています」

当社の持っている技術を狙って、取引先が強引な買収を行なおうとしており困っています

最初は資本提携の申込みでしたが、断ると掌をかえし、強引な手段に出てきております。相手は大手企業であり、こちらは零細企業です。

どうすれば、良いでしょうか?

(東京都 メーカー 53歳 )

 

数年前からM&A(合併と買収)に関する事件が新聞紙上を賑わせ始めました。07年の米国投資会社スチールパートナーズによるブルドックソース買収事件は記憶に新しいと思います

これらをきっかけに、資本提携、買収と言う言葉に、ことさら悪い印象が持たされたと感じます。今回の相談者もその一人とお見受けしますが、冷静に対応して頂きたく思います。相談文面からでは詳細な状況が読み取れず一般論で回答しましたが、できるだけ貴社に合うように考慮しました。

1. 資本提携の申し入れ内容を明確に把握してください。

 

資本提携は、企業同士が相互に、或いは一方が他方の株式を保有して、事業上の協力関係を築くことをいいます。ただし、資本提携には、相互の企業が競合或いは独立関係から協力関係へと移行するための手段として用いられる場合とM&A を行う前段階として行われる場合があります。

前者は、互いの独立性を保つことが前提で、通常10%前後で経営支配権を有しない程度の株を持ち合います。後者は、より経営権を発動するための資本注入であり、状況次第では経営へのてこ入れなど踏み込んだ活動も行なわれます。

いずれにせよ資本提携は、相手企業の魅力ある技術や製品を自社に取り込むことで、総合的に相乗効果を上げ利益を高める手段として用いられること多く、相談は典型的な事例です。

相談文面からでは、資本提携がどちらの場合で申し込まれたか判断できませんが、前者の程度では、信頼関係こそ深まれ特段の問題は起こらないと思います。相談者は後者を想定し、恐れていると思われますが、先ずこの点を明確にしてください。

2. 資本提携は、事業環境変化に伴う経営戦略の一つ

 

M&A など経営支配を伴う資本提携は、近年の規制緩和やグローバル化による事業環境変化に合わせて、生き残りを図るために生まれた新しい経営戦略です。事業を統合または再編することで、企業経営を効率化し、企業価値を増大させることを目的としています。

日本企業は、これまで自前の経営資源(資本、製品技術、人材)で事業を独自に展開してきました。自社に外部資本を参加させ、経営に口を出させる、あるいは自社の事業ノウハウを提供するなどは、経験したことがありません。特に、オーナーや一部大株主によって支配されてきた中小企業にとっては、従来の経営スタイルを大きく変えることになり、必要以上に理由なき抵抗があるように思われます。貴社にも当てはまると思います。

しかし、例えば、貴社が、後継者が居ない(注1)、優れた技術や製品があるが販売力、ブランド力が弱く業容拡大が難しいなどの課題を抱え、相手企業にとっては、蓄積するのに時間がかかる技術やノウハウなど不足の経営資源が充足でき、複数事業間の相乗効果を上げることができるなど、相互に利点が大きいなら、積極的な資本提携の活用が望まれます。

注1:H5,H16,H18年中小企業白書:中小企業の後継者不在問題

3. 資本提携の対象となる自社の企業価値を確認

 

資本提携に当っては、自社の企業価値が重要になります。いわば交渉時に必要となる自社の値札を確認することです。企業価値は、その企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値の総和に、非事業資産(金融資産など)と無形資産(ブランド、知的財産、人的資産、顧客など)の価値を加算した値です。価値の源泉が将来業績と無形資産の数値的測定であり、不確実な要素が多く経済動向にも左右されますが、それなりに予測し、数値化することが大事です。

目下の米国サブプライムローンに端を発し、世界経済を揺るがしている金融資産の暴落、先には90年代の日本で、バブル崩壊後に見られた有形資産、金融資産価値の大幅な下落などで、企業価値評価の視点は、有形資産、金融資産から無形資産重視に比重が移っています。すなわち他社との差別性が高く模倣が困難なブランド、従業員の能力、技術など、目で見えない資産価値の見直しです。経営戦略の一環として無形資産の価値測定は不可避であり、貴社も保有する技術の評価を試みてください。

4. 強引な資本提携は失敗の因

 

会社経営に参加する意志を持たず、株価を吊り上げ高値で当該企業に買い取らせることを目的に株式を買い集める行為をグリーンメール(濫用的買収行為)それにより利益を得る人をグリーンメーラー(濫用的買収者)といいます。

冒頭に書いたように、ここ数年、米国の投資会社がグリーンメーラーとして暗躍し、このため資本提携、M&Aと聞くと拒否反応を起す経営者も多いと思われます。しかし、本来のM&Aの目的は、それらと異なり成長し生き延びるための経営戦略の一つであり、恐れず知能を傾けてください。

M&Aは欧米で盛んに行われていますが、期待された効果が得られない例も多くあります。短期間で有形・無形の経営資源を得られる反面、異文化の組織が一緒になることにより、混乱や摩擦が生じるからです。特に強引な提携では、吸収された側の企業から技術を有する優秀な技術者が辞めて行き、失敗に帰することすらあります。

これらを避けるために、資本提携、M&A の後に、誰が企業を統治し意思決定をするのか、すなわち新しいコーポレート・ガバナンスの方針を明確に、相互で納得するように決めておくことが最重要になります。資本の過半を所有した方が独自に決められると考えるのは間違いですし、現状をそのまま引きずる形も避けなければなりません。

5. 雨降って地は固まる

 

結論として、資本提携を無闇に恐れるより、申し出の内容を十分検討し、自社にとってチャンスか脅威かを見定め、チャンスと見れば積極的に取組み、企業価値の向上、業容拡大、企業の存続繁栄に繋げたいものです。脅威と見た場合は、資本提携による不利益点、業務提携などによる現状の利点、企業価値評価に対する相互の相違点などを明確に示し、相手企業と真剣に交渉することです。その結果、雨降って地固まる例えのように、より深い信頼関係が生まれてくるはずです。

回答は、(株)浜テクアートの知見に基づく参考であり、責任を負うものではありません。

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